最近、家の中でクモを見つけては、その大きさや成長具合によしよしとうなずいている自分がいる。

雲のことではない。

蜘蛛だ。

さらに言えば、普通の指先サイズのクモのことではない。

私が待ち望んでいるのは、手のひらサイズのクモ、いわゆる家のヌシだ。

名前はわからない(調べないため)

だが人間には無害ということははっきりしている。

傍から見れば気持ち悪いことこのうえないだろう

一昔前の私なら、ビッグサイズのクモを見てうんうんうなずいている人を見たら怪訝な顔をしているに違いない

ましてや、手のひらサイズのクモ――もうここはいっそのことビッググモと呼んでしまおう――に、中学生のころいつの間にか添い寝(?)されていた経験を持つ自分はビッグサイズのクモなど到底共存できるとも思っていなかった。

あるときまでは。

ビッググモに対する意識が変わったのは、あるSNSでコイツに関する生態が紹介されているのを見たときだ。

すばやい

正確は穏やか。というか臆病。

そして何より、ビッググモに対する偏見を変えてしまう衝撃の事実が、そこにあった。

Gを、駆除する―というか、食べる。

Gとは、言わずもがな、Gだ。

言葉にするのもおぞましいので、この際真名は明かさない。

家の主は、Gを捕食して駆逐してくれるのだ。

それを知った日から私はいえのなかを移動するごとに当たりを見回し、この大いなる守護蜘蛛がどこかにいないかと探している。

家のなかにいるのであれば、Gを捕食してくれている証拠だ。

彼らはGとの生存をかけた攻防戦を行っている。

そしてばったり遭遇してしまったときには、畏敬の念をこめてGをたんと駆逐してくださいと心のなかで祈るのだ。

とにかく、夜中トイレに行くときにもうGに遭遇したくない。

*このエッセイは、noteでも同様の内容で投稿しています*