アイキャッチ画像:写真AC
小和田哲男監修「鬼滅の日本史」読みました。
戦国史家の小和田哲男先生が監修しているとあって、こら面白そう!と読んでみました「鬼滅の日本史」。
とくに個人的に印象的だったのが、日本最古の鬼に関する記述。
初めて見られるのが出雲国風土記だったんですってよ!奥さん!
あよのさとの鬼といわれているそうで、一つ目の人食い鬼に関する記述が載っているそうな。
漢字は忘れてしまったからひらがなで書くよ。
ある日親子が畑仕事していたら息子だけこの片目の鬼に食べられた。両親は茂みに隠れて息をひそめていたんだけど、見捨てられたと気づいた息子が息も絶え絶えに”あよ…あよ…”と嘆いたことから「あよの里の鬼」と名付けられたという。
日本最古の鬼の記述がわれらが島根の出雲の風土記とあっておぉー!と思って読んだらなんかめちゃくちゃ悲しくなったんだが…。しょうがないよね、命がかかわってるし…
でもこの一つ目の鬼、というのが一体何を意味していたのかが気になるところです。
一説によれば、製鉄にかかわる生業をしていた人が片目だった、というので、このあよのさとの鬼はたたら製鉄にかかわる人間ではないのか?という推論。
製鉄で飛ぶ火の粉で目がやられてしまって片目になると…。
仮にこのあよのさとの鬼がたたら製鉄にかかわる人だとして、男を喰った、というのは一体何を意味してるんだろ…?謎が深まるぜ。
古代出雲人よ、教えてくれー!
あと民俗学者の柳田国男についての言及もあって面白かったー!
柳田国男、遠野物語に代表されるような、民衆に伝えられる話を収集したことで有名だけど、それ以外にも、法の及ばない山や森で生活をしているいわばアウトサイダーの調査もしたこともあった…らしい。
西洋の阿部謹也先生の「中世のアウトサイダーたち」っていう本を思い出した。
都市や村などの共同体に属せない人達が、森といった当時では一種の治外法権の領域で暮らすっていうのは、前近代にあっては東洋、西洋問わずどこにでもあったことなんだろうなぁと。
日本の中世のアウトサイダーについて興味湧いてきたな。網野義彦先生の中世史本を読んでみるか・・・!
読んでみた感想としては、別にわざわざ鬼滅と絡めなくても十分面白い内容だと思ったのですが、昨今の出版不況もあるのか、鬼滅ブームにあやかろうとする編集者ないし出版社の意図は汲めたので苦笑だけしておきます。
鬼滅読んでたらさらに100倍楽しめる!んだろうな。読んでないからわからん。
や、でも私もあまり偉そうなことは言えないか。
中学生の時ジャンプの封神演義にはまりにハマっていろんな出版社から出されている封神演義に関する本買いあさったもん。その延長線で安能務版の小説「封神演義」読んだもんなー…。いやぁー懐かしい。
それはさておき日本史の中の鬼に関して紹介されていて興味深く読めました。
あと鬼滅、神楽がかかわっているみたいですね。
その関連で、うちの地元の民俗芸能の石見神楽も本に取り上げられていたのがうれしかったですね。
石見神楽はいいぞ。
本の情報
タイトル:鬼滅の日本史
出版:宝島社
出版年月:2020年10月
コメントを残す